《MUMEI》
*裏手*
「おお、海が見えるぞ」

瑠果が目を輝かせた。

「もう治まったようだな。波が穏やかだ」

「そうですね、少し外へ出てみますか?」

「ああ」

瑠果は頷いて、そっと窓辺から離れた。

すると紫堂は反対側を窓を見つめていた。

「あの、屋敷の裏はどうなってるんですか?」

「特に何も無いが──、果物が生る木が幾つかあるな」

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