《MUMEI》
*果実*
「紫堂、こっちだ」

「‥は、はい」

紫堂は瑠果に導かれるまま、鬱蒼とした森の中を進む。

しばらくして、瑠果が立ち止まった。

「おお、あれだ!」

瑠果が示す先には、確かに果実の生っている木があった。

「紫堂、そこで待っていてくれ」

瑠果は紫堂に笑いかけると、手近の枝に手をかけた。

「お、お嬢様‥!?」

紫堂が驚くのにも気付かず、瑠果は幹を上り始めた。

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