《MUMEI》 *釣竿*「紫堂はこういう所へ来るのは初めてか?」 「はい、海もあまり行った事がないですし──」 「おお、そうだ」 瑠果は突然何かを思い付いたらしかった。 別荘へ戻って何かを取って来ると、紫堂に掲げて見せた。 「釣竿‥ですか?」 「そうだ。私も少しなら釣れるぞ?」 「え、お嬢様‥まさか」 「釣りに行こうかと思ってな」 「今から‥ですか?」 「夕食の材料にはなるだろう?」 「で、ですがお嬢様」 「任せるのだ紫堂、私が魚を釣って来る」 瑠果は釣竿を片手に意気揚々と歩き出した。 前へ |次へ |
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