《MUMEI》
*親切*
「お、お嬢様‥っ」

「なかなか釣れんようだな」

「すみません‥」

「おお、そうだ」

瑠果はポンと手のひらに拳を打ちつけると、また別荘の方へ駆けて行った。

そして戻って来た彼女の手には、網が握られていた。

「お嬢様‥もしかして‥」

「ああ。これを使ってはどうだ?」

紫堂は一瞬固まったが、

「あ‥ありがとうございます‥」

怖々とそれを受け取った。

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