《MUMEI》
*屋根*
夕食後の片付けをを済ませ紫堂が瑠果の部屋の前へ来ると、彼女の気配がない事に気付いた。

「お嬢様‥?」

どこへ行ってしまったのだろう。

「お嬢様?」

ありとあらゆる部屋を回る。

「どこ行ってもうたんやろ‥」

散々探し回った挙げ句紫堂が辿り着いたのは屋根裏部屋だった。

「ここにもおらへんなぁ‥、?」

窓を開け上を見ると、そこには少女が座っている。

「お嬢様‥?」

瑠果は屋根の上にいた。

「おお紫堂、お前もこないか。なかなか良い眺めだ」

「そ、そこにいらしたんですね‥」

「すまん、探したか」

「いえ──少し‥だけ‥」

瑠果が見つかって一安心したらしく、紫堂はホッとため息をついた。

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