《MUMEI》 *面影*「屋根の修理が終わったぞ。屋根裏部屋の床も直しておいた。もう大丈夫だろう」 「すみません、お嬢様にやらせてしまって──‥」 「気にするな、この程度なら容易い御用だ」 「凄いですね」 やはりあの主人の娘というだけの事はある。 幼い頃から手解きを受けていたのだろう。 器用さも、無鉄砲さも、父親譲りであるに違いない。 「よし紫堂、私は外へ行こうと思うのだがお前はどうする?」 「お嬢様、少しお休みになってからの方が──」 「心配はいらん。私はこの通り元気だ」 「──────」 彼女の言動からは、時折主人の面影が垣間見える。 (やっぱ親子て似るもんなんやな‥) 「どうした?」 「あ、いえ。では──行きましょうか」 前へ |次へ |
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