《MUMEI》 *白露*まだ乾ききらない露が、陽の光に煌めく。 海の向こうは、薄く靄がかかったように白っぽく見える。 「おお、なかなか綺麗だな」 瑠果は眩しそうに手を翳す。 「少し海の方へ行ってみないか」 「まだ結構波が立ってますが‥」 「大丈夫だ。眺めるだけにする」 「あ、お嬢様っ」 駆け出す瑠果を、紫堂は慌てて追いかける。 「お嬢さ‥」 瑠果がいきなり立ち止まったので、紫堂は危うく彼女にぶつかりそうになった。 「どうされました‥?」 前へ |次へ |
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