《MUMEI》 *決定*「お屋敷もそうでしたけど──ここでもお嬢様はお変わりないですね」 「?」 「殆ど自給自足というか──お金持ちのお嬢様にしては不相応というか──」 「華やかでなくとも、楽しく暮らせたらそれで良い」 「ご主人様もよく言ってらっしゃいましたよね」 「そうだな。父上も同じ事を言っていた‥」 「屋敷にはいつ戻られますか?」 「秋前には戻ろうと思っているが──お前はどうしたい?」 「僕はいつでも」 「そうか。──ならば、そうするとしよう」 瑠果はそう言うと、窓の外を見る。 瑠果はあどけない笑顔をみせた。明るい陽射の中で、青々と茂る木の葉が微かに揺れた。 前へ |次へ |
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