《MUMEI》
*強制*
紫堂は瑠果を追って道を進む。

「お嬢様、お戻り下さい」

「紫堂は気にならないか?」

「?」

「もしかしたら珍獣がいるかも知れんぞ?──わッ」

瑠果は軽々と紫堂に抱き上げられてしまった。

「何をする‥ッ!?」

姫抱きにされた瑠果は慌てふためく。

「しっ‥紫堂お前」

「戻りましょう。危険ですから」

「お、降ろせ紫堂っ」

その言葉には耳を貸さず、紫堂は瑠果を抱き抱えたまま元来た道を戻り出した。

そして道の入口へ来ると、瑠果を降ろした。

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