《MUMEI》
*羽目*
「綺麗だろう?」

「本当ですね。──お嬢様っ?」

瑠果が水面を覗き込みながら、手を湖水に浸す。

「!?っ‥お嬢さ‥」

紫堂が抱え込まなければ、瑠果は危うく水の中へ落ちる所だった。

「危ないですから気をつけて下さいね」

「ああ‥すまん」

瑠果は本当に済まなそうな表情をした。

近頃自分が羽目を外しているという事は分かっているのだが、何故かいつも同じような失敗を繰り返してしまう。

ただ瑠果は、彼が側にいると思うと、どうしても安心しきってしまうのだ。

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