《MUMEI》
*好奇*
「紫堂、カモメが飛んでいるぞ」

瑠果は何かを発見する度に目を輝かせる。

「おおっ、クジラだ」

「お嬢様は好奇心が旺盛ですね」

「そうか?」

「はい、とても」

「海へ出るのは1年振りだからな、つい燥いでしまった」

瑠果が言うと、紫堂は小さく笑った。

そして、波打つ水面を見つめる。

「今日は波が穏やかですね」

「ああ。行きの時は大変な時化だったからな」

瑠果はそう言って苦笑した。

「だが今日は晴れて良かった。帰り着くまでこの天気が保つと良いが」

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