《MUMEI》
都合のいい女
バイトが終わって、いつも行く喫茶店でリナさんにも報告した。


「なんでぇーーー!!」


リナさんが目を丸くして驚いている。


「なんでって私が一番聞きたいよ!」


「そりゃ、そうやなぁ・・・」


いつもは良く喋るリナさんも、さすがにコメントに困っているようで口数が少ない。





が・・・やはり沈黙が嫌いらしく、リナさんは話し始める。


「で・・・どうすんの?これから・・・」


「うーん、どうしよ・・・。友達として近くにいれば、どうにかなると思ったけど・・・」


歯ブラシだけで、あんなに情緒不安定になるようじゃ・・・先が思いやられる。


「友達としてって、それ都合のいい女にされるだけやで!」


「そうなんよ!!
友達に戻った途端、誘ってくるようになったし・・・」


私に対する罪悪感とか、まったく垣間見えなかった。


「それが都合のいい女の兆候やで!さっさと縁切りぃやぁ」


縁を切る?
鈴木のことを諦めろってこと?


「そんなの無理!!!」


「なんで?」


「だって私は鈴木とやり直したいんだもん!」

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