《MUMEI》 夜の都会を見下ろし、エレベーターは天空へと昇ってゆく――……。 僕は、花束を小脇に抱えながらネクタイをほどいた。 もうすぐ愛しい女性に逢える――……。 僕の心は少年のように高ぶっていた。 この夜は、月に2度の密会の日だ―――……。 ――――パンポーン……。 エレベーターは48階のフロアに到着した。 扉が開くと、僕は真っ直ぐに海側の部屋へと歩を進める…。 心なしか歩くスピードも早い。 やがて僕は通路の突き当たりにある、ロイヤルスウィートのドアをノックした―――……。 前へ |次へ |
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