《MUMEI》 (まさか、和馬がネイルを?) 確かに和馬は身だしなみには気をつかっていたけれど 『あ、違うよ! 俺じゃないから!』 『あ、そうなんですか』 (じゃあ、プレゼントか何かかな?) 『じゃ、私はこれで』 『待って!』 和馬が腕を掴んだ。 愛理さんがカウンターから和馬を睨んだので、和馬はすぐに腕を離し、私に耳打ちしようと顔を近付けてきた。 『…何で逃げるの?』 『だって…』 私は以前和馬に耳を舐められた事を忘れていなかった。 耳を押さえて和馬から一歩離れた私を見て、和馬がため息をついた。 『真面目な仕事の話なんだ』 『本当に?』 『誓うよ』 私は和馬を信用する事にした。 そして、耳を押さえていた手をはなした。 和馬が私の耳に口を近付ける (やっぱりくすぐったいな) 喋る度に和馬の息がかかった。 しかし、その内容は真面目なものだった。 『シューズクラブ』は毎年夏になると、サンダルやミュール購入者を対象に、俊彦がペディキュアを塗るサービスを行っていた。 実は俊彦だけでなく和馬にもやってほしいというお客様が沢山いたが… 和馬は不器用だった。 前へ |次へ |
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