《MUMEI》

和馬のセクハラには気をつけていたはずなのに


この一週間。


発言はセクハラだが、行動は普通だから油断していた。


(で、一体何を…)


私はポケットの中身を確認した。


一つは、携帯番号とメルアドが書かれたメモ。


もう一つは…


「…カギ?」


それは、和馬のマンションの部屋の合鍵だった。


(誰が行くか!)


私は二つともゴミ箱に捨てようと思ったが


カギは、…一応、迂濶に捨ててはいけないかなと思い、自室の机の引き出しに入れた。


メモは…


嫌がらせに、翌日双子に渡した。


双子は、子供用の携帯を持っていた。


その日早速双子は和馬に愛のメールを大量に送った。

和馬は、元ホストだけあって、そのメール全てに返事をした。


双子はものすごく喜んでいて、それから毎日メールを送るようになった。


(少しは困ればいいのよ)


ファーストキスではないにしても、勝手に唇をあててきた和馬を私は許せなかった。

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