《MUMEI》
*再発*
「‥?」

揺れが治まった。

「止まっ‥‥た‥」

フッと力が抜ける。

だが安心は出来なかった。

また揺れるかも知れない。

「‥‥‥‥‥‥」

「──ご無事ですかっ?」

その執事の声に瑠果は扉の方へ目を向ける。

「紫堂‥」

「お嬢様、お怪我は──」

「大丈夫だ。お前は‥」

「僕なら心配いりませんよ」

紫堂はなるべく安心させようと明るく振る舞う。

だが瑠果はそれを見抜いていた。

「大丈夫か、驚いただろう‥?」

「え、そんな事ないですよ」

「───────」

「お嬢様‥?」

「まただ」

「‥‥!」

2度目の揺れが来た。

初めの時よりも、確実に揺れは大きくなっている。

「‥‥し‥」

瑠果は傍らの執事の名を呼ぼうとしたが、思うように声が出ない。

棚から物が落ちる。

ライトが倒れる。

「‥‥っ」

瑠果は固く目を瞑りベッドにしがみついて持ち堪えるのが精一杯だった。

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