《MUMEI》 「だからって捨てるのか!クソジジィ!」 七生は足場が悪いとこで再び暴れた。 「捨ててねぇってんだろクソガキ!」 おじさんも応戦すべく構える。 「駄目だって……」 止めようとしたら二人の間に躓いた弾みで飛び込んでしまう。 「「あ」」 七生に迎撃された。 内臓が出るという表現に相応しい衝撃を腹に喰らう。 「……かはっ」 なんか逆流しそうだ。 「ごめんじろー!」 七生に悪気は無いが抱き着いた瞬間首を締め付けられている。 ……落ちる。 首に絡む腕を叩いているのに気が付かない。 「オイ、白目剥いてるぞ」 おじさんに気付いてもらえた。 「悪ぃ……手加減出来なかった」 七生が首を摩ってくれる。 「……殴って暴れて、結論は出た?」 七生の手を軽く握る。 「ジロに窘められてやんのバーカ」 「……おじさん!」 あまのじゃく親子。 「ジロ、最近リサさんに似てきたなあ」 リサとは七生の母さんのことだ。 「どの辺が……!」 七生の母さんはいつも写真でさえキラキラした笑顔を振り撒く美人だ。 俺と似てるはず無い。 「オーラが。」 おじさんも七生に負けず劣らず問題発言する。 おーらって何? 「ジジィ!二郎は俺のだかんな!」 七生、そういうのは今はいいから。 「クソガキは図体ばっか育ちやがって。 ジロは少し大人になったな。ガキが成長するのは嬉しい。」 そうだ。七生のあの笑顔はおじさん譲りだった。 おじさんは七生も俺も乙矢も自分の子供みたいに可愛がってくれる。 「七生とおじさんやっぱり親子だ、笑い顔同じ。 それ、見てたら元気になれる。」 「「じろー!」」 「あ、あのー……」 七生と七生父に前後で抱き着かれて、挟まれた。 苦しい。 「流石ぁ俺の子だ!」 「俺のだってば!」 更に二人に締め上げられた。 「……離しなさい!!」 人の話を聞かないのもそっくりだ。 「「ハイ」」 二人同時に離れた。 似た者親子……。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |