《MUMEI》

「英田、そろそろ休憩終わりだぞー」
「え?あ、あ、はい」

不意に引き戻される現実、見ると遅れてきた茶髪男もすでに着替えていた。

やっぱり、違うだろ

無理矢理自分の心情を下方修正、そうだ、やっぱりこれは
友愛ってことだろ?

頭の中で笑う髭面を隅に押しやり、深呼吸する。心拍数もだんだん落ち着いてくる。

大事だとか、心配だとか、友達だからだろ?

俺は頭に霞を張る俺自身の感情をそう片付けた。迷う気持ちもしこりのような違和感も全て、少しばかり行きすぎた友情という名の好意だと。ゲイだのホモだの、そんなものは俺の中にはない。すべては友愛だ。
正論に自分で頷く、感情のズレは見ないふり。
問題ない、大丈夫だ。


しかし俺は、これから先この選択を悔やむことになる。

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