《MUMEI》

仄かに立ちのぼる髪の香り……。



そして―――…



あのフローラルのパフューム――……。


「嗚呼……カオリちゃん……愛してるよ…。」


僕はスレンダーな肢体を抱きすくめた…!


「…磯野くん……私も……愛してる…。」


捧げることを忘れられた花束が床に落ち、薔薇の花びらが舞う――……。


「…チュ…ブ……ハァ…ハァァ…」


薄暗い部屋に、口づけと高まる吐息の音が木霊する――……。



「―――磯野くん…抱ぃて…。」




彼女は堪えきれず口走った――……。

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