《MUMEI》
一人囲碁倶楽部
「こんにちは〜!」
「うわ!びっくりした!坂井さん!!」
「内藤君囲碁やるんだ?スゲー!」
局近くの公園で暇つぶし中、突然話かけられた。
坂井さんは収録が終わって今帰りのところらしい。
俺のDSを覗きながら坂井さんはどうやんの〜、全然なにがなにやらなんて騒いでいる。
――あれ?つか折原の話と違くないか?
「ね、何飲む?」
「あ、そんな良いですよ」
▽
坂井さんは遠慮いらねーからっていいながら自販機でお茶を買って来てくれた。
俺は有難たくご馳走になった。
「はー、夏も終わりだね〜」
「そうですねー」
ひぐらしの鳴き声が何処からかしている。
もう9月も中旬、
そろそろ涼しい日も出てきた。
坂井さんの横顔を見る。
やっぱ綺麗だなって、目の色がスゲー不思議だなと見入ってしまう。
すると坂井さんは俺に向いてきた。
「…なんか俺の顔についてる?」
「い、いえ…」
見入っていたせいで視線が恥ずかしい位重なって…。
薄い唇とか白い肌とかモロに視界に入ってくるわで…
「あの!そろそろ俺戻らなきゃ!」
とっさに俺はベンチから立ち上がった。
ご馳走様ですって早口で言い立ち去ろうとした時
「有難う、内藤君」
「え?」
思わず坂井さんの方を向くと凄く穏やかに笑いながら俺を見ていた。
「真菜がね、…ちょっと変わった、サンキュー」
「…?折原が?」
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