《MUMEI》
重なる偶然
神戸の女が奈美だったなんて…


こんな偶然…


頭の中が真っ白になった。


しかし奈美はマイペースに話し続ける。


「紹介しとくわ、彼氏の貴士です☆」


私でも下の名前で呼んだことないのに…


「これまた偶然なんやけど貴士は敦と美樹ちゃんと同じ大学なんやで!こんな偶然すごない???」


本当にすごいよね…


「まさか知り合いってことないよなぁ〜?」


「うん、知らない…」


私は躊躇せずに答えた。

その瞬間、鈴木が一瞬だけ目を見開き私を見たのが分かった。


「さすがに、そこまで偶然は重ならへんよね」


奈美はつまらないという顔をする。


ここまで偶然が重なるなんて…


私はその事実で胸が押し潰されそうだった。

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