《MUMEI》
村の少女
…ここはどこ?ブクブク…深海?ブクブク…落ちて行く私を深海魚たちが悠々と横切る。

「はっ!なんだ…夢か…それより、凄い汗の量だ。なんだか…怖かったな。」

そう言うと早速,母親の農作業を手伝いに庭に出た。

この子は、10才の腕白な女の子。家族はあまり裕福ではなく,それは幼い子でも薄々感じていた。だから、出来るだけ手伝った。

海沿いに面するこのコメック村の市場の片隅で野菜を毎日売って生活していた。母は脚が悪く、市場へは娘が毎日行っていた。

ある日,山賊が隣の山から下りて来た。ここらでは悪名高い、コロセッツ兄弟だった。いつも市場に食料を奪いにやってくる。民衆は逃げた。


ドカン!…ドシャ{魚の乗った台が倒れる}


「止まれ!だーれが、逃げろなんて言った?おい,勘違いするな。俺らはこの村の用心棒をやってやってるんだぜ?挨拶位しよーや!」

兄ヴァスコットは、毛むくじゃらの大男。弟リト―は、細身でキツネ目。二人とも山賊の中では,残酷で有名だった。

「友達になりてーんだよ。な?おい!そこのじじぃ!今日市場に出てる品,すべてもらうぞ。」

「待ってくだされ。今月はもう,渡しました。これは、私どもの大事な食料です。」

「ほ〜…じじぃ、一歩前に来な。その首切り落としてやるわ!さぁこい!!」


「待って!」

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