《MUMEI》

あんなに楽しみにしていた奈美との再会が、こんな苦痛の時間に変わるなんて…


皮肉だ…






4人で食事をしている最中も喋るのは奈美だけ。


「貴士が…………で、そしたら…………貴士も…………やで!貴士ったら…………したから…………貴士と…………しかも……………貴士だけ…………」


貴士貴士ってうざいっ!!


この重苦しい状況で奈美が喋るのは助かるけど、もっと他の話題ないわけ?


もう耐えれないんだけど!!


ていうか三人でって約束だったのに、なんで予定外の人間を連れてくるんだろ?



ちょうど限界を感じ始めた頃に敦君が申し訳なさそうに席を立つ。


「俺…、トイレに行っても良いかな…?」


これは明らかに私に許可を求めているのだろう。


しかし事情を知らない奈美は…


「トイレなんか勝手に行ったらええやん!」


と笑いながら言う。


そ、そんな…
敦君がトイレに行ったら、私たち三人になっちゃう!?


鈴木も笑顔がない。


「敦君、早く行って、早く帰っておいでよ!!」


私は奈美に気づかれないように必死で言った。

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