《MUMEI》
戦闘体勢
私はさりげなく奈美と鈴木を睨み付けて、またビール飲む。


「なんか…目がすわってるよ…」


敦君はトイレに行ってる間に私の様子が変わったことに気づいた。


「そう?少し酔ったからかな…」


そしてまた目の前の二人を少し睨み付けた。


「そうだ!二人のなれそめを聞かせてよ」


知ってるくせに私はわざと聞いた。


案の定、奈美は喜んで私の知ってるなれそめを話し出した。


しかし途中から知らない事実が奈美の口からポロポロと出てきた。


「みんなで飲みながら、カッコいいなって、ずっと見とれてたら貴士がキスしてくれて…」


初日にキス?


「しかも彼女とうまく行ってないから悩んでるみたいだったし…」


気持ち良くシドニーへ送り出してくれたと思うんだけど…


「思いきって告白するために大晦日に京都に来て、一緒に年越ししたんだ♪」


一緒に年越し…


「じゃあ年越しエッチとかしたんだー!?」


わざと冷やかすように聞いてみた。


鈴木の目が泳ぎ始める。


「なんで分かったん!!」


奈美は少し頬を赤くする。


「そりゃ年越しなんだからするでしょー!?へぇー、二人はラブラブなんだぁ〜」


わざとらしく楽しそうに言い、またビールを注文した。


「すいません、同じのお願いします!」

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