《MUMEI》 *態勢*「‥‥‥‥‥」 「‥‥‥‥‥?」 紫堂が目を覚ますと、傍らには安らかに眠る瑠果の寝顔があった。 「大丈夫やったみたいやな‥」 そして、自分がずっと床に座ったままだった事に気付く。 「この態勢で寝とったんかオレ‥」 差し込む陽の光に覚醒してくると、彼は立ち上がって 窓辺に近付く。 その時丁度、瑠果が目を覚ました。 身体を起こすと、片目を擦りながら紫堂の方を見る。 「もう起きていたのか」 「あ、はい。よく眠れましたか?」 「ああ。──ありがとう」 瑠果は笑って答えると、窓辺に近付く。 そしてガラス越しに、薄く色付き始めた木の葉を見つめていた。 前へ |次へ |
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