《MUMEI》
*目的*
いつの間にか瑠果は、すっかりこの執事の言いなりになってしまっていた。

「‥‥‥‥‥‥」

日が経つにつれ、次第に彼女はぼんやりする事が多くなってきていた。


何かと彼が手を貸してくれるので、する事がないのである。

強いて言えば部屋にいる時くらいだろうか、彼女が自分で何かをするのは。

「‥‥‥‥」

「──お嬢様」

「どうした?」

「支度が出来たら声をかけて下さいね」

「ああ」

瑠果はバッグを肩からかけると、扉を開けた。

「いつでも出発して良いぞ」

今、2人はある場所へ向かおうとしていた。

ある目的の為に。

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