《MUMEI》 *花束*それはバラの花束だった。 大切に包まれた、淡いピンク色のバラ。 瑠果の頬はそのバラと同じ色に染まった。 「綺麗だ」 瑠果は目を細めながら呟く。 「楽しかったぞ、紫堂」 「それは良かったです」 吹き抜ける風が、秋の深まりを暗示する。 「──────」 握られた手の温もりを感じながら、瑠果は幸せを噛み締めていた。 前へ |次へ |
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