《MUMEI》

"貴士くん"は動揺を隠せず、しどろもどろになりながら、私の方を見て言い訳をする。


「あ・・・別れたいっていうか・・・えっと、ケンカとか多くて・・・あの、だから・・・ずっと悩んでて・・・」


その様子を見て奈美が"貴士くん"を優しく援護する。


「でも別れて良かったやんな?そんな不毛な関係続けてもなぁ・・・」


不毛だと?


「"貴士くん"不毛な付き合いだったの?」


"貴士くん"は勘弁してほしそうな顔をしている。


「"貴士くん"は彼女のこと好きじゃなかったの?」


私は"貴士くん"を睨みつけて、店員にまたビールを注文する。


「分かったー!そんなに簡単に奈美へ乗り換えるってことは、彼女のこと本気じゃなかったんだ!!」


またもや、わざと閃いたようなフリをした。


「そっかそっか、その彼女は単なる遊びだったんだ!"貴士くん"は女の子からモテそうだしね」


"貴士くん"の顔は「もうやめてくれ」と訴えている。


そして運ばれた七杯目のビールを一気に半分飲んだ。


「美樹子ちゃん・・・飲みすぎ・・・」


敦君が私の横で止めようとするが私は無視する。


酔っ払っているからか、私は自分をコントロールできなくなっていた。


「その彼女も弄ばれて捨てられるなんて、馬鹿だねぇ〜。さっさと気づけよって感じっ!!!!」

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