《MUMEI》
暴走
「なんでって・・・飲むペース速くて心配だったから・・・」


私は"貴士くん"が心配しているのをなんとなく気づいていた。


なんで、こんな状況なのに私のこと心配するわけ・・・
中途半端な心配なんていらないっ!


「あんたは奈美のことだけ見とけばいいじゃん!」


思わず言い放った。


「美樹子ちゃん・・・お冷もらったから飲んで・・・」


敦君が私の暴走を止めようと必死に水を差しだす。


「お冷なんか頼んでないし!それよりビールはまだ??」


「ビールはキャンセルしたよ・・・」


敦君がビクビクしながら私に報告する。


「なんで?なんで勝手にそんなことするの?」


私自身、もう暴走が止められない。


「私が飲まないとやってらんないの分からないわけ?」


こんな状況、素面なんかじゃいれないんだからっ!


「さては・・・みんなグルなんだ!!みんなで私を追い詰めようとしてる」


私は酔っ払いすぎて被害妄想に囚われ始めた。


「私はもう誰も信じないから・・・みんな大っきらいよっ!!!!」


「いい加減にしろよっ」


"貴士くん"が怒鳴った。

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