《MUMEI》

もう冷房も必要なくなった俺の部屋。レポートを書いている俺の隣で、いつものように茶髪男はTVゲームに興じていた。明日はバイトが休みということもあって、泊まっていくつもりらしい。大学の授業に出たその足で俺の家に上がり込み、勝手に引っ張り出してきた俺のスウェットを着ている。もはや慣れすぎたパターン、疲れるからとコンタクトも外して黒縁眼鏡に変えて完全まったりモードな友人は、先週からハマっているRPGを黙々としていた。
俺のほうはと言えば、目の前のレポート用紙を埋めるのに必死で、必然的に会話も少なくなる。仲良くなかったらできないよなぁ、と無言でコントローラを握る茶髪男の横顔をちらり眺める。

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