《MUMEI》

ほんとほんと、と返してやると、嬉しそうな顔でいそいそと起き上がった。ワンヒント1000円は高いのに竜田弁当とハーゲンはいいのか、合計金額を考えても大差ないのに、満面の笑みを浮かべる茶髪男に少し呆れる。

「酒もいる?」
「あー‥‥や、いいやレポートやんなきゃだし。近藤飲んでいいぞ」
「や、いい。悪いし。お茶でいいよね?」
「伊右衛門な」
「おっけー」

スウェットのまま財布と携帯をわしづかみにして立ち上がる。
ふんふん、と下手な鼻歌を歌いながら茶髪男は部屋から出ていった。

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