《MUMEI》 「や、俺は大丈夫‥‥」 「よかった」 返ってくるのは爽やかというか何というか、演技っぽい微笑み。うわぁ、なんかイタイ子だった? 「え、と、手離してもらっていい?」 「あ、すいません」 早く帰りたくてそう言うと、すぐに手を離してくれた。でもまだ、笑みは俺に向けられたまま。 「可愛いですよね」 「え?」 「可愛いです」 「‥‥え?なに、俺?」 「はい」 「あー、うん、ありがとう」 「かっこいいですしね」 「や、そんなことないよ」 「いや、かっこいいですよ、すごく」 イタタタタタタタ。噛み合ってんのか噛み合ってないのかよくわかんない会話、やっぱイタイ子だったー。怖い人もやだけどイタイ子もきついなぁ。 前へ |次へ |
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