《MUMEI》

「あ、俺急いでるから‥‥」

俺は早々にこの場から離れたくてそう言った。なのに目の前の男から発せられるのは、意味不明な言葉。

「今から俺の部屋きません?」
「は?え、いやいや」
「ゲームとかありますよー」
「いやいやいやいや、俺って君の知り合いじゃないよね?」
「俺は知ってますよ?」
「‥‥え?」
「近藤銀二さんでしょ?」

え、どゆこと?

微笑みながら俺の名前を言う男に気味の悪さを覚えつつ、記憶に検索をかけるけれど、別にこんな奴知らない。あーあ、ストーカーとかなんかなコレ。偶然ぶつかった、わけじゃないよねどう見ても。
何なんだろ最近、痴漢にあったりこんなイタイ子に遭遇したり、




‥‥痴漢?

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