《MUMEI》

「な、に?も、いいから放せよ」

ぶんぶんと半ば無理矢理腕を振り回すけど放してくれない、コンビニ袋が落ちた、ハーゲンダッツがごろりと道路に転がる。

「放せコラ!」

もうなりふりかまってられなくて強い口調で凄むと、頬に衝撃、熱、痛い。え?俺殴られたの?

「だめだよ?そんな乱暴な口きいちゃ」

目の前いっぱいに広がる男の微笑みに、俺はただ呆然としていた。

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