《MUMEI》
*余地*
「‥‥‥‥‥‥」

瑠果は夕食まで部屋に籠って塞ぎ込んでいた。

あの時の瑠果に抵抗の余地はなかった。

だが、まだあの執事を名前で呼ぶのには抵抗がある。

嫌という訳ではない。

ただ、困惑してどうしていいのかが分からなくなってしまっていた。

「‥‥‥‥‥‥‥」

つくづく自分が情けない、と瑠果は思う。

「─────‥‥」

思わず、ため息が出た。

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