《MUMEI》
*蜜月*
「お嬢様‥?」

夕食時になって食堂に現れてからも、瑠果は口を閉ざしていた。

冬夜はそれでも対応を変えずにいつも通り振る舞う。

半ば強引過ぎたとは思っていた。

だが瑠果は必ず従うと、彼には分かっていたのだ。

「もう少しいかがですか」

「ああ」

この日の夕食はいつもより静かだった。

それでも、幸せに満ち溢れていたのは確かだった。

2人の新しい生活は、まだ始まったばかりなのだから。

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