《MUMEI》

部屋を出ると、双子と遭遇した。


「「あ〜、蝶子ちゃん、可愛い!」」


「そっちこそ」


「「エヘヘ」」


はにかむ双子はお世辞抜きで可愛かった。


二人共、お揃いの白地に色とりどりの星柄のワンピースを着ていた。


丈は、和馬を意識してか、膝上だった。


ヘアピンにも、星が付いていた。


黄色がやこちゃんで、オレンジ色がせいこちゃんだった。


(あれ?もしかして…)


「二人も打ち上げ行くの?」


「「うん!パパも行くよ」」


「衛さんも…?」


双子の言葉通り、リビングに行くと、咲子さんと同じ色合いの紺色の浴衣に着替えた衛さんがいた。


「あら、蝶子ちゃん、可愛いじゃない」


玄関から、咲子さんが入ってきた。


「これで、いいですか?」

「もちろん!さ!行きましょう!」


そして私達は…


普段は徒歩か自転車だが、『今日は特別』衛さんの車で『赤岩』に向かった。


貸し切りとはいえ、車は迷惑ではないかと私が質問しても、咲子さんは『今日は特別』と答えるだけだった。


(今日って…何かあったっけ?)


その時。


私はすっかり忘れていた。

今日が何の日なのか。

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