《MUMEI》

「バッチリだ!これなら俺の大切なアルファも安心して置くことが出来る」


駐車場の状況を再確認した佐久間は、もの凄い笑顔になって言った。


「決めた!俺、このマンションにするよ」


嫌な予感が的中した…


検索結果にこのマンションがヒットした時点で何か感じるものはあった。

なのに…私は判断を誤ってしまった…

なんであの時…

私はバカだバカだバカだ!!


後悔してもしきれないほどの後悔で、佐久間に返事すらしなかった。


「愛加ちゃん!どうしたのボーッとして?」


「なんでもないわよっ!」


このマンションに決めると言った佐久間にも怒りが込み上げてきた。


「なんなのよ!最初の二軒は何だったのよっ」


腹を立てても仕方ないのは分かっているが、はっきり言って八つ当たりだ。


「でも全部見た中でここが一番良かったから…」


「そんなの分かってる!」


私だってそう思う。


「もういいわよ。サッサと帰りましょっ!」


こんなところで、チンタラしている訳にはいかない。


「早く行くわよっ」


佐久間を急かしマンションを出ようとしたら、ちょうど誰かがマンションに入ってきた…


「愛加…?」


私は名前を呼ばれて動けなくなった。

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