《MUMEI》 不本意余計なこと言うなと言いたいところだが、お客様には言えるはずもなく… 「はい、大学時代の……」 何? 友達とも…元カレとも言いにくい… 私は言葉に詰まってしまった。 しかし佐久間には十分伝わったようで…。 「そっかぁー、大学時代の知り合いかぁ〜」 そして佐久間はさらに、 「佐久間と言います。近いうちにこのマンションに越してくるので、よろしくお願いします!」 と、愛想良く挨拶をした。 そんな挨拶をされた太一も慌てて自己紹介をする。 「馬場太一です。何か困ったことがあれば言ってください。このマンションに住んで結構長いんで…」 「太一さん………」 なぜか佐久間は、確認するかのように太一の名前を復唱した。 「あのお客様…、今日はこの辺でもう…また次回にゆっくりと…」 私は太一との不本意な再会に気が動転していたのと、佐久間への怒りで頭の中がパニックを起こし『次回』と言ってしまった。 「そうだね『次回』はみんなで飯でも!」 佐久間の言葉に、太一は不思議そうな顔をしている。 「やだっお客様!次回みんなで、って変ですよっ」 慌てて佐久間を否定した。 「え?変かなぁ…」 と言う佐久間の言葉を遮って、 「太一………それじゃ…」 と、またもや不本意な別れ方をした。 前へ |次へ |
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