《MUMEI》
サプライズパーティー
『赤岩』の駐車場に着くと、瞳さんと春樹さんが待っていた。


二人共、藤色の浴衣を着ていた。


「こんばんは」


「…」


瞳さんは無言で私を見つめた。


「あの?」


私は不安になった。


「…どう思う?春樹」


「ヤバいんじゃないかな?」


(何が?)


私の不安が更に増した。


「雅彦じゃ、無理ね。克也に頼んで。

やこちゃんとせいこちゃんは、和馬をお願いね」


「「は〜い!」」


私の後ろにいた双子は声を揃えて『赤岩』の店内に入った。


「じゃ、私達も行きましょうか」


咲子さんも衛さんの手を引いて、後に続く。


「あ、…」


「蝶子ちゃんは後でね」


歩き出そうとした私を春樹さんが止めた。


「で、孝太には雅彦で大丈夫か?」


「孝太君は暴走しないから」


「了解。じゃ、お先に」


私を止めておいて、春樹さんは先に『赤岩』に入って行ってしまった。


「あの、一体何なんですか?」


「今日は、何の日?」


質問したのに、逆に瞳さんが質問してきた。


「七夕ですけど」


「他にも、大事な事があったでしょう?」


「他は…私の…」


「そうよ」

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