《MUMEI》
*愛嬌*
だがこの苦味は半端ではない。

湯の量が足りなかったのだと、冬夜は今更になって気付いた。

「お、お嬢様、ご無理をなさらないで下さい」

既に7つもの角砂糖を紅茶に投入している瑠果を見て、冬夜はたじろいだ。

瑠果はというと、彼女はもうすっかり慣れてしまっているようなのだ。

冬夜は以前に比べて不意に火傷をしたり皿を割ったりという事はほとんどなくなっていたし、瑠果自身、そんなに彼の失敗を気にはしていなかった。

むしろ少し位の失敗は愛嬌に思えてしまうのだ。

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