《MUMEI》

俺の必死の願いが届いたのか、再び扉の向こうから電子音が鳴り響いた。やっぱりアイツだ、指定着信のメロディーに確信する。
けたたましさに興がそがれるのか、男は俺の脚を抱えたまま止まっている。そうだ、うるさいからって外にでて携帯とってくれないかな、壊してもいいから。そうしたら、そうしたら逃げられる。

15回分のコールで落ちる静寂。
今度はすぐに鳴り響く電子音。
一瞬の静寂、また電子音、何度も繰り返すサビのメロディー。

ち、と舌打ちが聞こえた。よしよし、苛立ってる。ほら、早く外に携帯取りにいってよ。うるさいでしょ?

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