《MUMEI》

ポツリとひと粒水滴が顔を伝う
「雨…」
俺がそうつぶやいた瞬間に雨は激しさを増した。
俺は急いで屋根へ避難する。
ふと見ると彼女はその場で空を見上げていた。
「オイ!!そんなとこにいると濡れるぞ!」
「私雨が好きなんだ。」
彼女は突然そんなことを言い出した。
「何でだよ!雨なんか濡れるだけじゃんか。」
「そうぉ?私はね、こうやって雨を見てるとなんだか今まで悩んでたことがどうでもよくなってくるの。なんて言うのかなぁ、すべてを洗い流してくれるみたいで。」
彼女はそう言って雨が止むまで空を見上げていた。

前へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫