《MUMEI》
branch road
公園から俺の部屋までの道のりは随分長く感じられた。震えつづけている冷えた身体を抱くようにして玄関を開けるころには、俺が煙草を買い出たときから30分以上経っていた。

「座ってろ」
「ん、」

震え続けている身体をそっと離してやると、茶髪男は緩慢な動作でベッドに腰掛けた。もう泣き止んではいたが、ぼんやりしていて目が虚ろだ。

「ほら、ティッシュ」
「ん、ありがと」
「‥‥風呂、入るか?」
「うん」

強姦された友達に、かけていい言葉なんてわからない。
強姦された、のか?
突っ込まれたのかそうでないのか、そんなことどうでもよくて、ただ同性の、あの不愉快な男に襲われた事実は変わらない。しかし、どうしようもなく気になった。精神的な重さは桁違いだ、きっと。

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