《MUMEI》
*安穏*
その毛糸玉から伸びる一本の糸。

少しずつ小さくなっていく毛糸玉。

「──────」

編み棒に糸をくぐらせながら、瑠果は思う。

何と幸せなのだろう、と。

変わらない日常。

穏やかな時間。

何の変哲もない、そんな日々が、瑠果にとっては幸せだった。

そして、それが変わらない事を願う。

今も、これからも。

ずっと続いていくように、と。

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