《MUMEI》

「別に、言う必要無いと思ったし」


「うわっ、冷たいな〜」


「やこちゃんとせいこちゃんに慰めてもらえばいいでしょ?」


私の言葉に双子は和馬の手を引っ張ってニッコリ笑った。


「有り難くて涙が出るよ」

「そう」


和馬の嫌味を私は軽く流した。


「和馬君とまた何か、あったの?」


咲子さんの言葉に私はギクリとした。


私は嘘が下手だ。


咲子さんに問い詰められたら、和馬との事を隠せる自信は無かった。


「まぁ、いいじゃないか。それより、プレゼント渡さないのか?」


話の流れを変えてくれたのは、衛さんだった。


「…そうね。じゃ、はい。私からはこれ」


「ありがとうございます」

私は咲子さんから可愛くラッピングされた紙袋を受け取った。


ちなみに、『中身は後で見てね』と言われた。


それから、やこちゃんとせいこちゃんから、刺繍入りのハンカチを


衛さんからは、図書券をもらった。


「やっぱり俺からも何かプレゼントしたいな」


「別にいいわよ」


「まぁ、そう言わずに」


和馬は三つつ着けているネックレスの中で、一番シンプルで細いチェーンのネックレスを外した。

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