《MUMEI》 「別に、言う必要無いと思ったし」 「うわっ、冷たいな〜」 「やこちゃんとせいこちゃんに慰めてもらえばいいでしょ?」 私の言葉に双子は和馬の手を引っ張ってニッコリ笑った。 「有り難くて涙が出るよ」 「そう」 和馬の嫌味を私は軽く流した。 「和馬君とまた何か、あったの?」 咲子さんの言葉に私はギクリとした。 私は嘘が下手だ。 咲子さんに問い詰められたら、和馬との事を隠せる自信は無かった。 「まぁ、いいじゃないか。それより、プレゼント渡さないのか?」 話の流れを変えてくれたのは、衛さんだった。 「…そうね。じゃ、はい。私からはこれ」 「ありがとうございます」 私は咲子さんから可愛くラッピングされた紙袋を受け取った。 ちなみに、『中身は後で見てね』と言われた。 それから、やこちゃんとせいこちゃんから、刺繍入りのハンカチを 衛さんからは、図書券をもらった。 「やっぱり俺からも何かプレゼントしたいな」 「別にいいわよ」 「まぁ、そう言わずに」 和馬は三つつ着けているネックレスの中で、一番シンプルで細いチェーンのネックレスを外した。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |