《MUMEI》

それは僕自身、それ以上は怖くて直視できなかった問いだった。


肌身触れあうほど間近な距離に居るにもかかわらず、返答次第では彼女が遠くに行ってしまうような不安に駆られてしまう―――……。


「カオリちゃん――…」


僕はその不安に堪らなくなり、思わず彼女を強く抱きしめた――……。



瞳を閉じる彼女――……。



自然に重なり合う唇――…。



バスの水面に漂う花びらが揺れる――…。



僕らは現実を直視することを拒み、ふたたび悦楽のなかに逃げこんだ――……。

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