《MUMEI》

「煙草ね、俺直弘の分も買ってきたよ。コンビニで」

「・・・・マジで?」

「うん、残りないの知ってた。でも、言わないでよかった」

あらためて知る、奇跡的な救出だったということを。
あの時こいつが携帯を落としていなかったら俺はこいつを見つけられなかっただろう。
あの時こいつがコンビニの袋を落としていなかったら俺は公園に行かなかっただろう。
あの時こいつが煙草を買ってくることを俺に言っていたら、俺は外に出なかっただろう。
間に合ってよかった。
助けることができてよかった。
切実に、安堵する。

「よかった・・・・」

「よかったね」

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