《MUMEI》
*永遠*
ガチャリ、と錠を下ろし、完全に扉が開かなくなった事を確認すると、瑠果は置いておいたボストンバッグを持ち踵を返す。

そして、傍らの執事と並んで歩き出す。

「「──────」」

旅の始まりだ。

一歩一歩を踏み出す度、足元で枯れ葉がカサカサと乾いた音を出す。

「楽しみだな、これからどんな旅になるのか」

瑠果は青く澄んだ空を見上げて呟いた。

すると、

「お持ちしますよ」

冬夜が瑠果の荷物に手を伸ばす。

だが瑠果はそれを拒む。

「これ位自分で‥」

「お忘れですか?」

冬夜はニッコリと笑って言う。

「絶対服従ですよ、お嬢様」

「・・・・・・・・」

こう言われてしまってはもう瑠果は従うしかない。

怖々と荷物を差し出すと、冬夜はそれを軽々と持つ。

「さて、どこへ行きましょうか」

「どこでも構わん」

そう答えて、瑠果は遠くを見つめる。

気の向くままに行こう、と思う。

旅路を行く2人。

天真爛漫なお嬢様と、世話好きで不器用な執事。

2人は歩み続ける。

この幸せが、永遠に続くと信じて。

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