《MUMEI》 labyrinth at dawn風呂からあがると、切り傷や噛み痕を消毒し簡単な治療をする、白い肌に散った黒い赤色が痛々しかった。言葉少なに治療を終えると、多少崩れた竜田揚げ弁当とカルボナーラをお互い黙々と食べ、溶けかけのストロベリーハーゲンも美味しく頂いて、でもさすがにゲームをする元気はなく、早々に眠りにつく。 あちこち痛みを抱えた友人をソファや床に寝かせる気にはなれず、ベッドをゆずって俺がソファに行こうとすると、行くなと言われる。わからなくはない、あんなことがあったんだし、あの男がいた公園はこの部屋から近い、し。 シングルベッドに男二人横たわるのは狭かったが、冗談っぽく、でも確実に怯えた目をして言われたので、無碍に断ることなどできるわけもなかった。 そして今、現在に至る。 前へ |次へ |
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